副業やスモールビジネスを始めようとする時、多くの人が
・「アイデアはあるけれど、何がウリなのかが分からない」
・「自分の商品に価値があると言い切れない」
と壁にぶつかります。
何を提供すればお金を払ってもらえるのか?
それが言語化できないまま走り出すと、売れない・続かないという結果に直結します。
本記事では、そうした悩みを抱える方に向けて、
「顧客が今すでにやっている代替手段」から提供価値を逆算する具体的な方法を解説します。
これにより、あなたの商品やサービスが「なぜ選ばれるのか」「いくら払っても惜しくないのか」が明確になり、ぶれないビジネスコンセプトを構築できます。
記事内では以下の内容を実践的に解説します:
- 代替手段の見抜き方
- 代替品のメリット・デメリットから価値を抽出する技術
- 自分の強みと提供価値をつなぐ“キーベネフィット”の設計法
このプロセスを通じて、
「代わりが利かないポジション」を狙えるようになり、価格競争に巻き込まれずに顧客から選ばれる事業が形になります。
筆者はこれまで製造業で10年以上にわたり製品設計に従事し2000万人以上の人に商品を届け、数々の受賞歴と特許を取得してきました。現在は本業で事業企画の責任者としてグローバルプロジェクトを推進しながら、個人がもっと輝けるようにスモールビジネス支援に特化したメソッドを公開中です。
「売れる価値は偶然ではなく、構造でつくる」
その視点で、机上の空論ではない“設計可能な価値づくり”をお伝えします。
おさらい
さて、前回はざっくりコンセプトの作り方をお伝えしました。
【誰に】______に悩む〇〇に対して
【何を】______という変化を
【どうやって】______という手段で提供する
ここから提供価値、提供の仕組み、収益化の方法、成長戦略を考える事でざっくりコンセプトをしっかりコンセプトに仕上げていきます。
まだざっくりコンセプトがないという方は下記の記事をご参考にまずはざっくりコンセプトを言語化しましょう。
このページでは”提供価値の設定方法”についてお伝えします。
提供価値は「顧客の代替品」を分析する事で実行可能です。
分析といっても難しい事はありません。メリットとデメリットを整理して、自分のビジネスのキーベネフィットを設定するだけです。具体例を示しながら解説していきますので安心してください。
STEP1 顧客はそのビジネスにいくら払うのか?
どうしても解決したいニーズがあれば、顧客はそれをすでに解決しています。解決されずに放置しているニーズは、解決しなくても良い”どうでもよいニーズ”です。
逆に言えば今どのように解決しているかを知れば、顧客はいくら払うのかを知る事ができます。
代替手段を知る
なぜ代替手段を知る必要があるかというと、それがあなたの競合になるからです。競合を知り、差別化する中にあなたのビジネスのキーとなる要素が含まれる必要があります。
顧客が求めている変化はすでにざっくりコンセプトで設定してあるはずです。ここでは〇〇が欲しいではなく、〇〇したいというDoニーズをベースに考えていきます。
ではこのDoニーズを顧客はどのように満たしているのでしょうか。
これが顧客の代替手段です。
例えば、
【誰に】郊外にから都心に通う子育てキャリアウーマンに対して
【何を】どんな天候の日でもいつもストレスなく会社に行けるという変化を
【どうやって】個人タクシーで提供する
という”ざっくりコンセプト”があったとします。
具体的なDoニーズは雨にぬれずに駅まで行きたい。
ちなみに、傘が欲しいはHaveニーズです。
このDoニーズを満たす手段は
・傘をさしていく
・カッパを買う
・タクシーに乗る
・バスで行く
・家族に送ってもらう
などがパッと思いつきます。
重要なのはターゲットは何を選ぶのか?という点です。どれも選ぶかもなーと思う場合はターゲティングが不十分な可能性もあります。
・服装指定のない会社のキャリアウーマン
➡傘をさしていく
・大事な商談がある日のキャリアウーマン
➡靴がぬれたくないので家族に送ってもらう。
・夫はすでに車で出勤している場合
➡タクシーに乗る
課題が大きくなればなるほど、顧客はより高価格の代替手段でも選択します。家族もいて、駅から近くて、スーツを着ないキャリアウーマンにタクシーは選ばれにくい。
あなたのターゲットは何でDoニーズを満たす”代替手段”は何かを整理しましょう。
代替手段にいくら払うのか
次に代替手段にいくら払っているかを考えていきます。
まずはその価格をそのまま考えます。タクシーであれば最寄り駅まで一回約600円。
次に、目に見えないコストを考えていきます。
例えば、
・タクシーを呼ぶ手間がかかる
・いつ来るか分からない不安
・そもそも捕まえられるのか。
私の場合はまとめて200円くらいですかね。
つまり、大事な日のタクシーには600円+200円=800円のコストがかかっていると言えます。
目に見えないコストは正直、感覚です。時間変換できる「手間」であれば時給から割り戻して推定するなどもできますが、目安レベルであまり精度は高くないでしょう。
「〇〇円払うから”手間・不安・面倒”をやっておいて」と言い換えたときにしっくりくるかの方が案外実際の感覚にあっているものです。
このように目に見えるコストだけではなく、目に見えないコストにも考えを巡らせる事が重要です。それにより、STEP2のメリットデメリットもよりシャープに見えて来ます。
この価格をベースに自分のビジネスの商品(サービス・製品等)のメリットやデメリットを踏まえて価値があるものなのかを整理していきます。
STEP2 代替品のメリット・デメリットからキーベネフィットを定義する
次に代替品のメリデメを整理していきます。
タクシーが代替手段の場合。
【メリット】
・Door to Doorなので濡れずに駅までいける
・移動中にスマホをいじれる
・化粧の仕上げができる
【デメリット】
・化粧は若干気まずい
・最短距離で行ってくれてるのか気になる
・その日に捕まえられるのか不安
・電車に間に合うのか不安
・結局傘も持っていく…
・価格が高い
他にもあるかもしれませんが、メリットを活かしながらデメリットを解消できれば、勝てそうです
そして、その差別化要素に自分の強みが活きていれば、そうそう負ける事はありません。
【自分のビジネスのキーベネフィットの例】
・完全予約制
・子供の送迎も一緒にしてあげる
・ルートに関わらず一定の価格
・共用の仕上げ用化粧品を数多くラインナップ
・女性ドライバーで気まずくない(?)
(女性の場合)
・24時間以上前の予約で割引
雨の日はお昼休みにランチに行くのもおっくうです。
・事前予約でお昼のお弁当を提供
などもあるかもしれません。
このように顧客の代替品は何で、それが解決できていない部分を付加価値として提供する事で顧客から選ばれるサービスや商品を考える事ができます。
STEP3 キーベネフィットはなぜ自分だと実現できるのか?
ここが自分の資質や技術、すなわち強みを発揮するポイントです。
ビジネスの枝葉の部分で強みを活かす事もスモールビジネスで競合と戦う上で多少有効ですが、ビジネスの根幹で強みを活かす事が非常に重要です。
定義したキーベネフィットはあなたの強みが活かせるでしょうか?
逆に強みが活きないのであれば、ざっくりコンセプトそのものを見直したほうが賢明です。
良いビジネスアイデアを作り出すのに必要な事は、たくさん作る事です。(体育会系で恐縮ですが・・・)
今回の具体例でいうならば、化粧品に詳しかったり、似合うトーンを見極める資質があったり、調理師免許を持っていたり。
無ければ、ずらせないか考えてみてください。
このプロセスで検討していく中で、
「あ、ここは少し強みが活かせそうだ」
と思うポイントがあれば、ターゲットを買えても構いません。
それをキーベネフィットに置いたときに一番共感して選んでくれる顧客はどんな人なのか?を考える事でコンセプトはブラッシュアップする事ができます。
注意:ざっくりコンセプトを変えた場合は、もう一度、Doニーズと代替品、メリデメを整理しなおしてきちんと筋が通っているのかを確認してください。
まとめ
提供価値は「顧客の代替手段」を分析することで明確になります。
単なる金額ではなく、目に見えない心理的コストまで含めて価値を設計しましょう。
そして最も重要なのは、そのキーベネフィットに「あなたの強み」が活きているか。
そこが揃えば、競合に負けないスモールビジネスがつくれます。
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